瑕疵とは「欠陥、キズ」とほぼ同じ意味で、一見しただけでは、分からない欠陥・キズを「隠れた瑕疵」といいます。
瑕疵があるというのは目的物が通常有する性質や、性能を有していないことと考えられています。
「隠れた瑕疵」があった場合、民法・宅建業法では、買主を保護する規定が定められている。
しかし事前に説明されている 瑕疵(例えば雨漏り)について買主は売主に対して瑕疵担保責任を問えません。
買主が通常の注意力でもって発見できない瑕疵について売主に対して、補修請求権もしくは損害賠償・契約解除権(瑕疵を修理できない程、重大な欠陥がある場合)を請求できます。
これを売主の買主に対する瑕疵担保責任と言います。
中古住宅の売買のケースで瑕疵担保責任について説明してみましょう。
中古住宅の売買の場合、売却時点では気づかなかった生活する上で重大な建物の欠陥(雨漏り・構造部の腐食・シロアリ被害・床の傾き・給排水設備の不具合等)が、引き渡し後一定期間内に見つかった場合、売主は無料補修や損害賠償をする責任を負うことになります。
最近の判例では上記の物理的な瑕疵以外に心理的な瑕疵 (室内で過去に自殺があったような場合) についても、売主の瑕疵担保責任により契約の解除を認めたケースもあるなど、適用の範囲が拡大してきているようですので注意を払う必要があります。
瑕疵担保責任について民法及び宅建業法は下記のように規定しています。
民法 566 条・570 条で買主は瑕疵を知った時点より 1 年以内は無料補修や損害賠償請求権があります。
宅建業法第40 条では売主が業者の場合、その目的物の引渡しの日から 2 年以上とする特約以外は無効としていますので、期間の短縮・免責(例えば「瑕疵担保責任を 1 年とする」とか「瑕疵担保責任を問わない」という特約)は無効です。
実際の取引上では「2 年の瑕疵担保責任とする」とするというように最短の期間で設定しているケースが多いようです。 個人間の中古住宅取引において瑕疵担保責任は宅建業法上、規定がありませんので、瑕疵担保責任の期間の短縮・免責は可能です。
実際の取引上では 2 ヶ月程度の瑕疵担保責任の期間設定が多いようです。 しかし業者と個人の中古住宅取引においては上記で記した宅建業法第 40 条で 2 年以上の瑕疵担保責任の特約を付ける必要があります。
この条件以下の買主にとって不利な特約は無効となります。
ところでこの瑕疵担保責任について業者が個人に対して有効期間を定めずに売却した時はどうなるのでしょうか?
その場合は、瑕疵担保責任の時効消滅は引き渡しから 10 年です( 平成 13 年 11 月、最高裁判所は、瑕疵担保による損害賠償請求権は引渡しの日から 10 年で消滅時効にかかるとしました。)ので、個人である買主は業者である売主に対 して引渡しから 10 年間瑕疵担保責任を問えることとなります。
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