経済学では”一物一価の法則”が有名ですが、これは完全競争の世界では物の値段はすべて同一 価格になるというもので現実の世界ではあり得ないことです。
一般的には多くの方が日常、一物二価というのは体験していますよね。
例えば電気製品を買う際に、希望小売価格と実際の売価は全く異なるでしょう。
それ以外にも高額な車を買ったり、住宅を買ったりする場合でも、カタログ表示価格、見積り価格でそのまま購入するケースは少ないはずです。
購入者から販売側に対する値引き交渉が商慣習として定着していますので最初から値引き要求を見越した価格設定になっていることが普通のようになっています。
このように売り手の希望売価と買い手の購入価格という2重の価格があるわけです。
ところが土地の価格には何と5種類もの価格「時価(実勢価格)・公示価格・基準地価・路線価・固定資産評価」が存在しています。
大変混乱しますね。
上記の基準地価を除き一物四価と表現するのが一般的ですが、基準地価も含め一物五価とも言います。
それぞれの価格は使われ方が違うのです。
下記にそれぞれの価格の意味について説明します。
①時価(実勢価格)
その土地が実際に取引される価格のことを言います。
自分の所有している不動産を売却したい場合、まず参考になるのが不動産情報誌や新聞の
折込広告(一般的に実際に取引される価格は広告表示価格より買い手の値交渉により値引きされているケースが多く、広告価格よりは高く売れないということは目安として判断できます)です。
次に現地の複数の不動産業者に聞いてみるのがいいでしょう。
不動産業者によっては賃貸がメインで売買を全くしていないような会社もありますのでその辺も注意しながらヒアリングしましょう。
②公示価格
公示価格の調査は、地価公示法に基づき、国土交通省の土地鑑定委員会が全国的に都市計画区域内の標準地を選び、毎年1月1日現在の標準地について公表する正常な価格のことです。
不動産の鑑定評価の専門家である二人の不動産鑑定士が各々別々に現地を調査し、 最新の取引事例やその土地からの収益の見通しなどを分析して評価を行います。
この公示価格は、一般の土地取引の指標となり、公共事業用地取得価格の算定、相続税評価や固定資産税評価の目安として活用されています。
毎年3月20日過ぎ頃に公表されています。
③基準地価
基準地価とは都道府県知事が国土利用計画法施行令に基づいて公表する毎年7月1日時点の土地価格です。
1月1日時点における公示価格とともに土地取引の目安とされています。
公示地価が都市計画区域内を対象とするのに対し、基準地価では都市計画区域内及び都市計画区域外の住宅地、商業地、工業地や、宅地ではない林地も含んでいます。
広報される土地価格情報では最も正常な価格であり、一般の土地取引の指標となります。
7月1日現在の価格が9月20日頃に各都道府県の公報で公告されます。
市町村役場に備えてありますから、いつでも閲覧できます。
④路線価
路線価は相続税や贈与税を算定するため、課税の対象となる財産の評価方法として国税庁が定めた価格です。
税金を算定するための基準であるため、実勢価格より低く設定されているのが普通です。
毎年1月1日を評価時点として、地価公示価格、基準地価、売買実例価額及び不動産鑑定士等の地価事情精通者の意見価格等をもとに算出され、主要道路に面した標準的な宅地の1㎡当たりの評価額のことです。
毎年8月上旬(2006年は8月1日)に公表されます。
8月上旬以降に税務署もしくはインターネットで閲覧できます。
路線価は平成4年8月から概ね公示価格の80%(平成3年までは公示価格の70%が目安となっており、7月1日が評価時点となっていましたが、平成4年から変わりました)を目安に決められています。
⑤固定資産税評価額
固定資産税を支払う基礎となる価格です。固定資産税の課税主体である各市町村が決めます。
3年毎に1月1日時点の土地価格が基準として決定されています。次の評価変えは平成21年度となり、平成20年の1月1日を基準として決定されます。
固定資産評価額は公示価格の70%が目安となっております。
ある特定の土地の固定資産評価額の目安を調べたい場合、路線価が分かれば、路線価は公示価格の80%が目安となっていますので、公示価格が1とすれば路線価は0.8、固定資産評価額は0.7の関係ですので。固定資産評価額は0.7÷0.8=0.875となり、路線価の87.5%が固定資産評価額の目安になるということが分かります。
また公示価格は1÷0.8=1.25で路線価の1.25倍が目安になるということが分かります。
結構便利な指標ですので覚えておきましょう。
上記内容を一覧表にしますと下記の様になります。
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